少女からの贈り物

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 遠い異国から一家3人で移住してきたのは5年前

その後母親の病気が発覚し1年間の看病生活

昏睡で徐々に衰えていく母親のからだを

無心に拭く父親のかげで

少女はいつも戸惑いがちだった

 

小康状態のある晩、

翌日の発表会の成功を誓って

少女が一瞬帰宅したその合間に

母親の心機能は限界を迎えた

 

駆けつけた親族はたった数名

控えめで物静かだった家族から

堰を切ったように投げかけられる嗚咽・号泣は

異国の言葉

しかし一つ違っていたのは少女から発せられた声

それは、おかあさん...確かな日本語だった

 

ひとしきりの涙のあと

覚えたての化粧を母親の美貌に施して

見送るスタッフに静かに

潤んだ瞳から投げかけた少女の視線は

確かに何かを伝えたそうだった

 

 故郷での大家族の10年間と

3人で海を渡って過ごした5年間

最後の1年間は母親に会うための通院の日々

父親との二人三脚

明日からはそれがどのように変わるのか

願っていいものならば、どうかこの土地を

つらい思い出の地に終わらせないでほしい

 

翌朝父親から携帯に連絡

お通夜の日程の報告とありがとうの言葉

故郷で死ぬより、妻は幸せだったかもと

 

そして、何より嬉しかったのは

母親との最後の別れを前に

少女が予定通りに発表会へ出発したという報告

涙をこらえて、仲間と懸命に演奏する姿を

遠くから拝み、また心が濡れた

 

たくさんの『ありがとう』を残して去っていった家族

そこに僕らの『ありがとう』を加えて

再びこの家族へ贈りたい

 20081015日 救急部・脳神経外科 伊地知 寿)

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コメント(1)

『ありがとう』一言だけど、簡単のようで難しい一言・・・
言われた方も、言う方もやさしい空気に包まれる大切な贈り物だと思います。
大切にしたい三つの間が私の中にあります。それは、時間・空間・仲間です。このお話から、私は、亡くなられた方も、旦那さんも娘さんも、日本に移住してきて、大切なかけがえのない、何にもかえれない三つの間を過ごせたんじゃないかと思うと同時に、先生を初め、スタッフ皆も大切な何かを感じ、学んだのではないかと思いました。なかなかいいたくても言えない『ありがとう』の言葉・・・伝えられるように、素敵なかけがえのない三つの間を手助けしていけるように・・・頑張ろうと思える素敵な話でした!
 
お互い、がんばりましょうね♪

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このページは、MESHサポートが2008年10月23日 13:41に書いたブログ記事です。

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